工具・ツールホルダーに関するQ&A

目次

下記の目次のタイトルをクリックしてください。

[1] MAS規格とは?

[2] 工具(ホルダー)のシャンクとは?

[3] 工具(ホルダー)のテーパ部について知りたい

[4] 工具(ホルダー)のグリップ部(V溝)は何のためにあるの?

[5] 二面拘束工具とは?HSKとは?

[6] プルスタッドとは?

[7] ゲージラインとは?

[8] 主軸の工具アンクランプ時はなぜプルスタッド後部を押す?

[9] 「Mコード(M機能)」と「Tコード(T機能)」って何ですか?

[10] 主軸オリエンテーションとは?ドライブキーとは?

[1] MAS規格とは?

日本は世界に先駆けて工具インターフェイスを工業会規格として標準化に成功し、この規格に基づいた製品が製造されてきました。この工具インターフェイスの規格(ツールシャンク、プルスタッド、主軸端規格)を日本工作機械工業会( Japan Machine tool builders Association Standard)の頭文字を取ってMAS規格と名付けられました。MAS規格の開発ではアメリカ航空宇宙規格NAS970と旧来テーパ規格を参考に作成され、基準寸法が半端なのは、もともとインチ寸法であったものをミリメートルに換算したからだそうです。

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[2] 工具(ホルダー)のシャンクとは?

シャンク【Shank】の意味を調べると
1、すね、脚、または道具の柄。
2、ゴルフで、アイアンクラブの頭部と接続部、またその部分で打ってしまうミスショット。
とあります。工作機械における工具のシャンクとは、工具の柄の部分すなわち工具を把持する部分です。工作機械に使われている工具のシャンク部分は、BT(ボトルグリップテーパ)、NT(ナショナルテーパ)、MT(モールステーパ)、JT(ジャコブステーパ)、HSKなどがあります。BTは主にマシニングセンタなどの自動工具交換装置向け、MTシャンクは主に汎用フライス盤などの工具交換を手作業で行う機械向け、MTはドリル接続、JTは主にドリルチャックと機械本体の接続、HSKはBTよりも一段と高い工具交換精度を要求される工作機械向けです。BTとNTはテーパ自体は同じ7/24(ナショナルテーパ)で、言わば「NTシャンクを自動工具交換用に改良したのがBTシャンク」です。

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[3] 工具(ホルダー)のテーパ部について知りたい

工具(ホルダー)のテーパ部は主軸と工具(ホルダー)との接触部であり、加工精度に関わる重要な部分です。主軸側のテーパ穴がいかに高精度であっても工具(ホルダー)側のテーパ部の精度が悪いためにワークの加工精度の悪化や、加工中に異常振動が発生するなど、過大な加工動力が必要になる場合があります。 ナショナルテーパNo.50工具のテーパ部諸元は
テーパ:7/24 ゲージ径:φ69.85mm(テーパ部基準径)
工作機械の本来の精度をワーク加工に活かすために主軸テーパ穴の精度維持に注意するのと同時に工具ホルダのテーパ部も精度維持することが必要です。そのためには、主軸テーパ穴及び工具テーパ部の日常点検と清掃が必要不可欠です。

BTホルダー

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[4] 工具(ホルダー)のグリップ部(V溝)は何のためにあるの?

通常の工具(ホルダー)のテーパ部前方に円筒形のグリップ部が設けてあります。グリップ部には、主軸ドライブキー用のキー溝及び工具交換用のV溝が設けられています。グリップ部は加工精度に直接影響はありませんが、ATC(自動工具交換)をするために必須です。グリップ部は常に露出しており直接切粉が降りかかるため、切粉が付着したまま工具交換動作に入るとトラブルの原因のひとつになります。機械本体側に何らかの切粉落し機構を設けてあるかもしれませんが、工具交換をスムーズに行うためには常にグリップ部を綺麗にしておく必要があります。ATC装置のない時代はオペレーターが自分の手で工具交換をしていたのでグリップ部は必要ありませんでしたが、時代の変化とともに自動交換が一般的になりグリップ部のある工具(ホルダー)が普及していきました。

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[5] 二面拘束工具とは?HSKとは?

二面拘束とは高速、高精度、重切削加工など工作機械に求められる要求が高くなる中で考案された主軸への工具装着方法です。ホルダーのテーパとフランジの二箇所(二面)で面当たりさせる事で拘束するシステムです。
HSKとは工具規格の名称で、二面拘束工具として広く知られています。HSKの中でもいくつか種類がありHSK-Aは、ISO12164-1(DIN69893-1)に基づく中空の1/10ショートテーパ&テーパ端面密着の二面拘束ツーリング用のシャンクで形状は非対称です。工具引き込み用のプルスタッドが無くショートテーパ内部で工具を主軸に引き込みます。

HSKツール

また、キーがあったりポリゴン形状であったりと各々の工具規格で違いがあり、代表的な工具としてはサンドビックのコロマウントキャプト、ケナメタル、Bigプラスなどが有名です。

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[6] プルスタッドとは?

工具(ホルダー)テーパーシャンクの後ろに取付けてある突起物で、工具(ホルダー)をクランプする時に掴む場所になります。機械主軸内の皿バネを使ってこのプルスタッドを引っ張ることによりテーパーシャンクが密着し工具を保持します。その力は数トンです。また、プルスタッドはATCマガジン内の工具保持にも使います。プルスタッドは工作機械メーカーにより使用型式が違い、MAS規格のⅠ形、Ⅱ形のほかメーカー独自の物もあります。なお、HSKなど二面拘束タイプの一部にはプルスタッドがないものもありまます。複数の機械で工具を共用する場合は同じプルスタッド規格を有するメーカーを選定しましょう。

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[7] ゲージラインとは?

ゲージラインとは工具(ホルダー)のテーパー部の大端部(テーパーの最も径が大きくなったところ)のことを言います。BT50では、規格寸法でゲージラインからフランジ端面までの寸法は、3mm±0.4mmです。二面拘束工具の場合は主軸端面とフランジ端面が接触するためゲージライン=主軸端面となります。BBT仕様の主軸ではBTのホルダーも使用できますが、工具補正値の入力ミスなどのトラブルが発生する要因となるので混在使用は避けた方がよいです。※BT仕様の主軸にはBBTのホルダーは使用できません。主軸端面の仕上げ精度がBBTホルダーのフランジ端面の仕上げ精度と適合しないからです。

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[8] 主軸の工具アンクランプ時はなぜプルスタッド後部を押す?

加工工具の主軸への装着は、主軸先端部に設けられたテーパ穴に工具のテーパ部を密着させプルスタッドをサラバネで引き込む方式が一般的です。この工具装着状態で重切削による工具の押し込みや主軸が高速回転の遠心力により膨らむことで工具が押し込まれたり、或いは主軸の熱膨張による工具の押し込み等で、主軸に工具が食い付いてしまうことがあります。そこで自動工具交換時、主軸工具アンクランプ動作に連動してプルスタッドを僅かに押し出して前述のテーパ部の食い付きを外す機構が設けられています。このプルスタッド押し出し機構が機能しないと工具が抜けない場合があり、工具交換動作中にアラーム停止やATCアームが歪むなどのトラブル発生の要因になります。

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[9] 「Mコード(M機能)」と「Tコード(T機能)」って何ですか?

工作機械のNC機能の一部です。「Mコード」は補助機能と呼ばれ、主軸回転やクーラント吐出などの働きを制御するのに用いられます。「工具交換」には一般的に「M06」が割り当てされます。「Tコード」は工具機能と呼ばれます。例えば「T10」でNo.10 の工具を選択し、交換待機位置に準備します。つまり「T10」⇒「M06」で主軸装着工具とNo.10 工具を工具交換する指令となります。

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[10] 主軸オリエンテーションとは?ドライブキーとは?

主軸オリエンテーションは漢字で書くと主軸定位置停止機能となり、あらかじめ決めてある主軸回転停止位置に毎回停止させる機能です。工具交換時の主軸ドライブキーの位相を交換可能な方向に合わせたりボーリング加工などで工具刃先とワーク干渉回避に使用されています。通常工作機械主軸端面には一対のドライブキーが設けられています。ドライブキーは主軸回転動力を滑りなく工具に伝えるのと同時に、主軸に対する工具の位相を決めるために設けられています。工具交換前に、このオリエンテーション機能を使用して主軸を定位置停止させ工具交換動作に移ります。工具を装着する場合、主軸の停止位置が決まっていないとドライブキーの位相が合わず正常に工具が把持できず工具交換ができません。

設計のポイント:工具位相とキー位置(図解)

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