ATC装置(自動工具交換装置)とは?ATCに関するQ&A

目次

下記のタイトルをクリックしてください。

[1] ATC装置(自動工具交換装置)とは?

[2] ATC装置にはどんなタイプがあるの?

[3] ATC装置が対応できる工作機械の種類は?

[4] ATC装置のマガジンは収納本数の制限がありますか?

[5] マトリックスマガジンとは?

[6] ツール・ツー・ツール(Tool to Tool)とは?カット・ツー・カット(Cut to Cut)とは?

[7] ATCアームとは?

[8] マガジンのツールホルダチェーンのレイアウトはどのように決めるの?

[9] ATC装置の取り付け位置はどうやって決める?

[10] 固定番地方式とメモリーランダム方式とは?

[11] 工具モーメントとは?どうして制限がある?

[12] プルスタッド付き工具のマガジンポット内での保持方法は?

[13] HSKのマガジンポット内での保持方法は?

[1] ATC装置(自動工具交換装置)とは?

工作機械におけるATC装置(自動工具交換装置)とは、Automatic Tool Changerの頭文字を取った略称で、その名の通り自動で工具交換をするための装置です。JISでは下記のように定義されています。

ATC装置の定義
[JIS B 3000(2001)]
マシニングセンタ、ターニングセンタなどの数値制御工作機械において、工具マガジンなどから必要な工具を選択し、自動的に交換する装置。

また、マシニングセンタなどは「(省略)・・・工具を自動交換できる数値制御工作機械」と定義されておりATC装置が必要不可欠といえます。ATC装置は大きく分けてチェンジャー(ATCアーム含む)とマガジンのユニットから構成されており、各仕様は工作機械本体、使用する工具によって多岐にわたります。

マシニングセンタの定義
[JIS B 3000(2001)]
主として回転工具を使用し、フライス削り、中ぐり、穴あけ及びねじ立てを含む複数の切削加工ができ、かつ、加工プログラムに従って工具を自動交換できる数値制御工作機械。
機械の構造によって、主軸が水平の横形、及び垂直の立て形がある(JIS B 0105 参照)。

目次へ戻るicon-reply

[2] ATC装置にはどんなタイプがあるの?

ATC装置は主軸及びマガジンとの工具交換をするチェンジャーと工具をストックするマガジンとに分かれます。チェンジャーは搬送方式(走行タイプ・振込みタイプ)と駆動方式(油圧・空圧又は電動カム式)で分類できます。マガジンは収納方式(ドラム・チェーン・マトリックスなど)と駆動方式(油圧・空気・電動・サーボなど)で分類できます。マガジンから本機の主軸までの搬送にはいくつかの方法があり、交換時間・デザイン・スペース・価格などにより決定されます。また、チェンジャーのないダイレクト方式、本機テーブル上に設置する通称「刀掛け」のような特殊タイプもあります。
ATC装置の納入事例一覧を見るicon-share
ATC装置をタイプ別にわかりやすく解説した総合カタログをダウンロードするicon-mail-forward

目次へ戻るicon-reply

[3] ATC装置が対応できる工作機械の種類は?

本機に使用する工具にATC装置用のV形溝とマガジン収納時にその工具が保持できれば機械の種類は問いません。実績は、マシニングセンタ、中ぐり盤、研削盤、スカイビングマシン、ボール盤、NCフライス盤、NC旋盤、大型旋盤、複合旋盤、五面加工機、専用機です。(立型、横型いずれも可)

目次へ戻るicon-reply

[4] ATC装置のマガジンは収納本数の制限がありますか?

マガジンタイプにより制限があります。しかし、必要かどうかは別にして例えばマトリックスマガジンであれば工具収納本数の制限はありません。

タイプ別の工具収納本数
ドラムタイプ:60本程度・主に小本数
チェーンタイプ:~250本・主に中本数~多本数
マトリックスタイプ:~450本・主に多本数

目次へ戻るicon-reply

[5] マトリックスマガジンとは?

直行座標で工具を収納する工具収納マガジン方式の名称です。他にもラック式マガジンなどとも呼ばれており名称は各社により様々です。一般的に100本以上の工具を使用する機械に設置され長時間の連続運転、多品種加工を可能にします。工具は縦、または横に直線的に収納しスペース効率を高めた構造をしており、上下左右移動可能な工具搬送装置を内蔵しており工具交換位置まで工具を搬送します。マトリックマガジンにおいては設置面積を大きく必要とするためいかに省スペースな仕様とするかが設計のポイントのひとつです。またマトリックスマガジン単体で制御機能を持たせる場合もあり、この場合は制御回路構築や操作盤が作業性、操作性を十分に考慮されているかがポイントになります。

マトリックスマガジンの納入事例を見る icon-share

目次へ戻るicon-reply

[6] ツール・トゥ・ツール(Tool to Tool)とは?カット・トゥ・カット(Cut to Cut)とは?

ツール・トゥ・ツール(Tool to Tool)は通称T-T(ティーティー)、カット・トゥ・カット(Cut to Cut)は通称C-C(シーシー)と言います。これらはATC装置の工具交換時間を表す指標です。 T-T(ティーティー)とは、そのまま訳すと工具から工具という意味で、マガジンと本機主軸が工具交換直前の待機状態からスタートし、工具交換を完了して元の待機状態に戻るまでの時間です。T-Tのほとんどの時間をチェンジャー(ATCアームを含む)動作が占めます。一方、C-C(シーシー)はある基準位置から、工具交換位置へ移動し工具交換完了後に基準位置へ戻るまでの時間です。マシニングセンタの場合は立型、横型でそれぞれ基準位置も定義されています。工作機械の仕様比較をする場合は明記されている工具交換時間がT-TかC-Cのどちらなのか確認する必要があります。

JISで定義される工具交換時間
[JIS B 6336-9 : 2002]
工具交換換時間 (cut-to-cut tool change time),CTC 加工領域内の基準位置PRから交換すべき工具を移動させ始めたときから、交換した次の工具をその基準位置PRに位置決めし終わるまでにかかる時間。
備考
CTCは,自動運転下で工具交換に必要な動作をすべて考慮しているので、単純に工具だけを交換する時間よりも、自動工具交換動作時間の評価には適している。

目次へ戻るicon-reply

[7] ATCアームとは?

ATCアームとは工具交換において工具を直接掴む部分です。ATCアームには大きく分けてフォーク式、スイング式の2通りがあり、形状にも一般的な180°の他に90°(L字型)や十(じゅう)字型があります。また、工具姿勢が水平・垂直、もしくは両機能を持つものもあります。駆動方式では油圧による駆動、電動カムによる駆動、空圧(エア)式の駆動があります。ATCアームにおいては、工具を把握しているときに工具落下を防ぐためアームの爪が開かないよう安全機構をもたせています。その他に注意すべきポイントとしては、工具規格によってアームの形状を適切に選定すること、工具質量・モーメントなどによって把握力を適正化することなどが挙げられます。アーム旋回スピードは工具交換時間と密接に関わる重要な要素になります。工具質量が大きいと旋回スピードに制限が生じる一方で、工具交換時間の短縮が求められるため、最適な旋回機構の設計が必要になります。また、工具質量にあわせて旋回スピードを変化させる設定をする場合もあります。

[例]最大工具質量が25kg場合
15kg以下の工具ではM06(通常旋回)
15kg以上の工具ではM16(遅旋回)
を使用するように決められている工作機械もあります。

ATCアームがマガジン及び工作機械本体の主軸と芯出しができているか定期的に確認する必要があります。芯出しの確認を怠ると工具交換時にツール落下などのトラブルの原因となります。芯がずれる原因は様々ですが例えばチェーンタイプマガジンの場合、経年によるチェーンの伸びが考えられます。頻繁に行う必要はありませんがチェーンのテンション確認・調整と芯出し確認をセットで行うことで予防保全として十分な効果があります。

設計のポイント:ATCアーム構造(図解)

目次へ戻るicon-reply

[8] マガジンのツールホルダチェーンのレイアウトはどのように決める?

先ず、本機工具仕様の「連続収納最大工具径」からツールホルダチェーンのピッチを決めます。 通常テーパNo.50 では標準的な仕様の「130mm」と「140mm」から選択します。
P=130mm:連続収納最大工具径=φ125mm(弊社仕様例)
P=140mm:連続収納最大工具径=φ135mm(弊社仕様例)
次に、マガジン設置スペースを基にチェーンレイアウトを検討し、さらに手動による工具交換位置を決めていきます。

設計のポイント:チェーンの選定(図解)
設計のポイント:摺動抵抗の少ないチェーンレイアウト(図解)

目次へ戻るicon-reply

[9] ATC装置の取り付け位置はどうやって決める?

ワークとの干渉、メンテナンス等によりATC装置を設置できないエリアがありそれをかわしてマガジンの位置、そしてマガジンから主軸までの搬送経路を設定します。この時、マガジンでの工具収納姿勢には関係なく主軸側で決められている装着姿勢にする必要があります。例えば、工具収納が水平のマガジンから立型主軸への工具搬送は垂直・水平方式のチェンジャを用いて工具の姿勢を変えます。立型・横型主軸を持つ機械(複合加工機など)へはこの垂直・水平方式のチェンジャを用います。

設計のポイント:チェンジャー搬送方式(図解)
設計のポイント:コラムタイプと別置タイプの使い分け(図解)

目次へ戻るicon-reply

[10] 番地固定方式とメモリーランダム方式とは?

固定番地方式及びメモリーランダム方式はそれぞれ工具をマガジン内に収納する方式です。固定番地式は決められた工具を決められた位置(番地)に収納するため、これはオペレーターにとっても工具の管理が容易です。一方でメモリーランダム方式は立形マシニングセンタなどで多く採用されているポット転倒タイプのマガジンに多く見られます。メモリーランダムはアームの工具交換動作1回でマガジン工具と主軸工具が交換できるのが特徴です。しかし、この工具交換方式だとツールポットと工具の位置関係は一定ではありません。オペレーターが混乱しないように制御などで工夫することが大切です。

目次へ戻るicon-reply

[11] 工具モーメントとは?どうして制限がある?

工具の仕様は最大質量と最大長さで表されることが一般的です。しかしながら同じ質量と長さの工具でもその重心がどこにあるかで、ATCのマガジンポット或いはATCアームにかかる負荷は違ってきます。その負荷は「工具質量×重心位置」で算出し、これを「工具モーメント」と表現しています。この「工具モーメント」に制限を設け、マガジンポット及びチェンジアームの把持力を設計しているのです。

目次へ戻るicon-reply

[12] プルスタッド付き工具のマガジンポット内での保持方法は?

プルスタッド付き工具の保持方式は、ホルダ後部に設けた中心軸に直交する穴に鋼球とバネを入れ、プルスタッド中間の円錐面に鋼球を押し当てて保持しています。工具の最大質量及びモーメント(質量× 重心距離)により保持力を設定しています。工具を縦向き(自重落下方向)に保持する場合、また工具を確実に保持する場合は「バネ+鋼球」に加え「ロックピン」を設けます。このホルダは「ロックピン」を解除しないと工具が抜けない構造になっています。ロックピンの解除方法はエアーシリンダーなどを使用します。

目次へ戻るicon-reply

[13] HSKのマガジンポット内での保持方法は?

工具内面テーパ部に内側から鋼球を押し付けるタイプか機械主軸と同じで工具の内径を内張りコレットで保持するタイプがあります。工具規格によってはその部分の詳細寸法は公表していない場合もあります。工具モーメントが大きい場合は、マガジンでの収納方法、工具の搬送時の方法及び姿勢がATC装置のタイプ選定のポイントになります。プルスタッドの無い工具例としてHSKの他にKMやキャプトなどが上げられます。

目次へ戻るicon-reply

Q&AのTOPへ戻るicon-reply